卒業式
卒業式全景
2011.02.11
学校長式辞
卒業式式辞
「春寒や はつかに梅も 気色あり」
春を待つ水仙、白梅という言い方は、明らかに私たちの思いを投影したものです。
人は厳しい寒さの向こうに、やがて来るものを待ち望んでいます。
その春はまた、本校にとって三年生の皆さんとのさびしくも喜ぶべき別れの時であります。
本日はここに、野添育友会長様、学園創設者の奥様・三木茂子様を始めとするご来賓の方々、
多くの保護者の皆様のご出席をいただき、学校法人三木学園白陵高等学校第46期生の卒業式を執り行うことができますことを
心からうれしく思っています。
ただ今卒業証書を授与しました188名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
もちろん、大学入試はこれからが本番と言っていいですし、おめでとうという言葉に浮かれることはないでしょうが、
今日は一つの区切りで、立ち止まる時なのです。
皆さんは、疾風怒濤といっていい激動の数年間をこの白陵で送り、来し方行く末を考える時を迎えています。
そしてこれから、友達とは少しずつ違う、自分の人生を歩んでいくことになるのです。
しかし、多くのことがらを、クラス・学年の仲間たちと共有してきたという思いはあるでしょう。
外から見えていた皆さんの姿は、中学での文化祭の学年ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」
「ウエストサイド物語」の印象そのままに、才気があらゆるところにほとばしり出た学年でした。
高校一年の時、多彩な課題に取り組んだ「プレゼンテーション大会」も、皆さんの特徴をよく現していたと聞きました。
一方で勉学の方は、部活動との両立を図りながら着実にこなしてくれました。
「学習と遊びの境が明確でない学年」という言い方は、明らかに 一つのほめ言葉であり、
その言葉にふさわしい結果を出して今日に至っています。
この三年間、世界は不透明さの中で激しい動きが引き続き、本校にもいろいろなことがありました。
例えば、高校二年の時は日本の政権交代があり、オバマ大統領誕生があり、また新型インフルエンザ騒ぎによる休校があり、
昨年は例年にない猛暑が続きました。
しかし、本校にとって最も大きな出来事は、うれしかったことは新校舎の竣工であり、
一番ショックだったのは吉田前校長の逝去でした。
私たちは、うれしいことも悲しいことも、いつまでもそこに浸りきっていることは許されません。
若い皆さんであればなおさら、先を見据えて歩むしかないのです。
皆さんは、この白陵で身につけたものに自信をもって巣立ってほしいのですが、その際、
最近のニュースで意識するに値するものは、私は、「はやぶさ」の活躍と先日のサッカーアジアカップ優勝だと思いました。
この二つのことには、何か日本人の姿や努力の有り様に似通っているものがあったからです。
小さい日本が、十分な予算がなくても智恵を絞り、不利な状況の中でも諦めずに最後まで努力する。
それは、日本人の心の琴線に触れるものがあると同時に、日本人が一番力を発揮する形のようなものを感じます。
そして、我田引水かも知れませんが、白陵生の有り様とも似通っているのを感じてしまいます。
余裕のあるとき、万全の態勢が整っているときに、大きなことがなし遂げられるとは限りません。
苦しい中でも努力が続けられる状況のありがたさを、皆さんも実感する時がくると信じます。
そして皆さんは、これから先、努力を続けることに加えて、今までになかった新しい発想を求められ、
自分と違う考え方を吸収し、より高いものを目指さなければならなくなるのです。
それらに関連して、最近私がドキッとさせられたことをいくつかお話したいと思います。
一つは、すでに本屋でベストセラーになっていますから、題名は目にした人もいるでしょう。
浅川芳裕氏の『日本は世界第五位の農業大国』という本です。日本の食料自給率は40%ほどで、
零細農家がほとんどを占め、補助金をつぎ込むしか方法がない。
これが今社会に広まっている日本の農家の姿です。
この本はそれを真っ向から否定します。
摂取するカロリー量という観点ではそうだが、世界の普通の指標である生産額では、れっきとした世界五位。
先進国ではアメリカに次いで二位、フランスやドイツなどのEU諸国のどこよりも多いのです。
これらの基礎データはすべて農林水産省発表のものに基づいています。
私たちの今までの状況認識は誤っていたのでしょうか。
次に、前にお話をした剣道の世界選手権のことを知った時に教えられたのですが、
十数回も世界大会を実施しながら、日本の剣道関係者は、剣道をオリンピック種目にしようとは必ずしも
思っていないというのです。
同じ格技でも柔道とは違った道を歩いています。
理由は、オリンピック種目になれば、どうしても勝つことが第一になり、剣道の持つ精神的なもの、
そのよさが失われてしまわないかと危倶するからだそうです。
私はこういう競技団体の姿勢は、いわゆるグローバルな発想を無条件によしとしない点で、
大切な何かを持っているように思います。
三つ目は、テレビで見てショックを受けたのですが、めったにない難病にかかっていた18歳の女性が、
それまで自分の命を支えるために体に付けていた医療機器を取り外す決心をしたことです。
そんなことをすればすぐ命を失うことは分かっていながら、両親の「生きていればいいこともあるよ」という忠告も退け、
「命の価値は長さではない」と言い切って延命を拒否しました。
最後の残した言葉は「大事なのは感謝すること」だったそうです。
私はこれを見たとき、言葉がありませんでした。
これらはすべて私たちの常識に対する挑戦であり、私たちは少なくとも自分にはその回答をしなければなりません。
さらに、若い皆さんは、今後さまざまな場で、旧弊に流されることなく、同時に奇を衒うことなく、
この挑戦とつながっていくような生き方をすることが求められるのだと思います。
最後になりましたが、保護者の皆さまに申し上げます。
改めまして、ご子弟が本日の卒業を迎えられましたことに心からお喜びを申し上げます。
私どもは、皆様のご子弟をお預かりしたこの三年間,十分でない点もあったかとは思いますが、
学年団を中心に全力で教育に当たって参りました。
ここに至るまでに賜りましたご理解・ご支援に対し、この場を借りまして厚くお礼を申し上げます。
入学以来いろいろなことがありましたが、私どもは、真面目で資質豊かな生徒たちとこの白陵で一緒に生活できたことを
心からありがたく、またうれしく思ってきました。
卒業生の皆さん、白陵での時は終わります。卒業といい、年の始めといい、
それは私たちが自分の生き方の点検を求められる時なのです。
もう一度自分自身を見つめ、どんな時にも自分を粗末にしないで、
同時にまわりの人にも喜んでもらえる生き方をしようと自分に言い聞かせてください。
皆さんの今後の活躍と幸せを心からお祈りし、式辞といたします。
平成23年2月11日
学校法人三木学園白陵高等学校 校長 斎藤興哉
卒業生答辞
卒業生総代の答辞
2011.02.11
答辞(現代語訳)
立春を迎えても,風は益々冷たい.
どうか,別れをつらく思って嘆かないでくれ.
山 は高く聳え,天は遙かに広がっており,
未来が限りなく広がっているのが分かる.
そもそも卒業というのは, 学問を修めるという節目の時であって,式がこのように荘厳であり,
広く来賓の臨席を賜り,校長先生の懇ろで恵み深い訓辞と,育友会長の丁重にして心の行き届いた祝辞をいただき,
後輩諸君の心温まる送辞を受けるに当たって,私たちは感謝の念を押さえられません.
私たち今卒業しようとする者は百八十名余り,皆学問を究めようとする者であり,共に学び,それを身につけ,
自ら考えること は早くも3年であります.世に,光陰矢のごとしという言葉があります.歳月の経つのは甚だ早く,
今なおここで共に学ぶことを願わないわけではないとはいえ,私たちが白陵で得たものは,極めて多大なものです.
先生と巡り合うことが出来ました.私たちを教えるに当たって,その御心は温かくも厳しく,
真理を突き詰めようという御志は,常に鋭く,絶えることが有りませんでした.私たちはそれによって,
学問の広大にして限りないことを知りましたが,才能もなく,怠惰であったために,
その一端を窺い知ることが出来たに過ぎず,私たちは心から恥ずかしく思います.
さらに学問を磨かなくてはなりません.このような(情熱あるすばらしい)先生方がいらっしゃらなければ,
どうして私たちの学問を志す思いがこのように募っていることが有りましょうか.この事を以て,篤く感謝します.
先生だけではありません.私たちの学びを支えてくださった皆さんに,感謝したいと思います.
また,友人と巡り会うことが出来ました.友情を交わすことは長い者では6年,毎日切磋琢磨して,
お互いを知っていることは,ちょうど魚が水を知っているようなものです.
これは学問についてだけではありません.以前,私が,進むべき道 について迷い,
もだえ苦しむことが長く続いたとき,友人がいてくれ,私の言うことを聞き,
自分から親身になって考えてくれ,心の底からの,気配りの行き届いて,飾り気無く率直な言葉をかけてくれ,
これによって私を救ってくれました.もとより得難いものは誠の友人であり,私はこれと出会うことが出来ました.
どうして自ら誇らしく思わないでいられましょうか.
素晴らしい先生と巡り会い,朋友と巡り会って,学問をすることができたのは,ひとえに皆が集まって,
ここ白陵で出会ったおかげです.この幸せは,何がこれに勝ることがありましょうか.今振り返ってみますと,
享受してきた幸せが甚大であるのに比べて,私たちの行ってきたことの余りに僅かで少ないことを思って,
これを恥ずかしく思い,自然と厳かな気持ちになります.後輩の諸君,あなた方の学舎(まなびや),
先生,学友,家族,いずれも天からの恵みであります.必ず,年月を怠惰に過ごすことなく,学業に励み,
有意義に学生生活を送ってください.
父上,母上,どうか私たちを見て下さい.三回春を迎えて,学び,成長して,今ここにおります.
私たちは,生を受けてから今に至るまで,愛情,慈しみを注いで教え育てていただき,その恩は殆ど限りありません.
しかし今,学問の道半ばに過ぎず,出来ることの少ないことを辛く思います.
ここに,必ずや学業を成就させ,仁を施し,それによってこの大きな恩に報いることを誓います.
これを以て,答辞といたします.
平成二十三年二月十一日
第四十六回卒業生代表 六田 泰央
卒業式の一日
第46回高等学校卒業式の日です。
2011.02.11
夜中から雪が降り、辺り一面、雪景色です。
卒業式のために在校生が入場してきます。
188人の卒業生に、一人ひとり卒業証書が手渡されました。
成績優秀者に優等賞・努力賞が授与されます。
皆勤賞を授与される生徒が起立しています。
卒業生退場。「威風堂々」の音楽の中、一列ずつ、揃って立ち上がっては花道に向かいます。
卒業生が花道を、拍手を受けて「威風堂々」と退場していきます。
記念棟の外で晴れがましい卒業生たち。外は寒いです。
記念棟玄関前で外に出る卒業生たち。
学園道路を下りて謝恩会会場の白陵会館へ。
謝恩会に突入します。
謝恩会後、最後のホームルームに入ります。廊下では、卒業生と保護者が談笑しています。
ホームルームの様子、その1。
ホームルームの様子、その2。
ホームルームの様子、その3。
ホームルームの様子、その4。
ホームルームの様子、その5。この後、クラブごとのセレモニーや各所で記念撮影になります。