卒業式

学校長式辞

 本日ここに、三木学園白陵中学校第五十期生は卒業式を迎えました。 多くの保護者の皆様にご出席をいただきましたことに感謝いたしますとともに、 卒業生と一緒にこの3年間を振り返り、今こうして立っている時の意味を考えたいと思います。

 本校は、正式な6年制の中等学校ではないものの、6年間の中高一貫教育を掲げて高いレベルの学習を課しており、 その前半の課程を皆さんは成しおえたということです。皆さんがこれまでそれぞれの歩みの時々に見せた苦しみ、 戸惑い、そして喜びの姿を思い出しながら、ただ今卒業証書を授与しました157名の卒業生の皆さんに、 まず心から「ご卒業おめでとう」と申し上げます。

 私は常々、本校は生徒と教職員が互いに信頼し合い、心を合わせてともに学んでいく学校でありたい、 と申してきました。この50期生はまさにそういうあり方を歩んできた学年でした。 三輪田学年主任は、「信頼感がなければ教育は成り立たないと考え、先生方は生徒を信用し、 いろいろなことを生徒主体でやらせてみようとしてきた。生徒は、率直にそれに応えた言動をしてくれた」と言っています。 その一つが例えば奈良や京都を対象にした校外学習であり、白陵祭での組体操であり、文化祭でのディベートでした。 新しい試みをすることは心配も伴いますが、皆さんはその意図を十分理解し、細かな注意にも耳を傾けながら、 当初の目的を達成してくれました。それらは当然皆さんの自信にもつながったことと思います。

 日々の学習についても、本来の素直さがよく現れた学習態度であったと聞いております。 私は皆さんと、初めて中学の修学旅行なるものを体験したのですが、その事前学習のレベルの高さ、 プレゼンテーションのうまさに、改めて「さすが白陵生」という思いを新たにしました。 そして、-方では元気溢れる、時に元気すぎる姿も目にして、頼もしく感じたものでした。 私はいつも思いますが、人は、生徒であろうと私のような高齢者であろうと、 自分が実際にしたことによって変わっていくのは間違いありません。 人間は、何歳になっても完成などありません。ですから、今していること、 あるいはこれから目指すことに全力で、本気でぶつかっていくことで、 一歩でも半歩でもそれに近づくしか方法はないのです。そして、成長する度合が大きいということで、 この中学・高校時代の重要さはどれほど強調してもしすぎることはないでしょう。

 さて、先日の11日は各地で東日本大震災の慰霊祭等が行われましたが、この大震災は、 生きていくのがどの時代、どの国・地方であっても、 私たちに難関が襲いかかる可能性があるのだということを教えてくれました。 私たちはそれぞれの場でその困難を引き受けざるを得ないのです。 皆さんはいわば「志」を持って本校に入ってきたのであり、 それは自分の立場でそういう困難とも向き合うことを決意したことになるのだと思います。 もちろん、現在まだその実力はありませんし、また、そこまで覚悟が固まっているわけでもありませんが、 皆さんが普通に歩いていけば、人よりは大きな任務と重い責任を背負う立場になる人が多いでしょう。 今、白陵で中学を卒業するということは、そのための一つの土台を築くことができたということを意味します。

 今日本は、大震災からの復興と経済の建て直しだけではない多くの課題を抱え、いわば大変な試練の中にあります。 景気のいい話はどこからも聞こえてきません。若い人は皆、「大人になってもぱっとしない社会しかないのか」 と思っても不思議ではないのですが、実は全く違った見方で現在の日本を見ている人がいます。 東京大学博士課程の社会学の研究生で、『絶望の国の幸福な若者たち』という本を書いた人です。 祉会学ですので、多くのアンケート結果を駆使して若者の実態を分析しています。

 彼はまず、昔ほど自動車を買わず、お酒も飲まず、海外旅行にも行かないけれど、 通信費など人間関係の維持には十分必要なコストはかけるという若者の姿を呈示します。 そして、そういう20代の若者はなんと、男子で66%、女子で75%の者が今の生活に満足しているとのこと。 このことについて、ある識者は、人問はこれ以上幸せになれると思えない時、 今の生活が幸せだと答えるのであり、逆に、将来の人生に希望がある人にとっては、 今が少々不幸だと言っても自分を否定することにはならない、と分析しています。 これはややシニカルな見方を誘いますが、とにかく1990年代以降、若者にとって友人・仲間の存在感が増してきて、 幸せを測る物差しが自分と同じ世界に属する仲問になっているのは事実のようです。

 私がこの本を読んで思ったことは、皆さんが日々の生活を時々不幸だと思ったとしても、 それはよりよい、より高い将来を目指す皆さんにとっては当然のことで、 今すべきことに全力でがんばるというのは全く間違っていないということです。 皆さんは本校に入学し、本校で3年間生活したことで、 世問の平均的な若者の考え方とは明らかに少し違う道を歩きだしているのです。

 保謹者の皆様には、改めてご子弟のご卒業についてお喜びを申し上げますとともに、 この一つの区切りを契機にご子弟がさらなる成長を遂げることを心よりお祈りします。 この学年の卒業生は、大多数がそのまま白陵高校に進みますが、他の進路を選んだ生徒もいます。 それぞれ皆多少なりとも迷ったり、思い切ったり、覚悟を囲めたりした上での進路選択であります。 また今後については、どのようなことが起こるか誰にとっても分からないということで、 これからもお互いの悩みを共有しながら、保護者の皆様と手を携えてご子弟の指導・支援に、 当たっていきたいと考えています。

 卒業生の皆さん、これまでの3年間の生活を振り返り、同時に3年後の自分の姿を思い描いてください。 そして、今日の卒業式が本当によき「新しい出発」となることをお祈りし、式辞といたします。

 平成24年3月19日
                    学校法人三木学園白陵高等学校 校長    斎藤興哉

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卒業式

第47回中学校卒業式です。

2012.03.19


開式前の様子です。緊張が漲ってきます。


全員着席し、準備完了。


記念棟正面玄関の立て看板。


保護者受付。


お世話になった中3学年団。


卒業証書授与。学年主任から一人一人の名前が呼名され、起立します。


呼名が終わり、代表が壇上に向かいます。


卒業証書授与の瞬間。


優等賞授与。


努力賞授与。


皆勤賞授与。


功労賞授与。


学校長式辞。


卒業生退場。


卒業生には縁の深い、退任された先生が駆けつけました。


続いて、終業式が行われました。


各学年の優等賞、努力賞が授与され、清掃点検の表彰が行われているところです。

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