卒業式

卒業式

2017.02.11


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学校長式辞

2017.02.11

卒業式式辞

 厳しい寒さと意外な暖かさが交錯した今年の冬は、2月の声を聞いても同様で、春の兆しがやや息をひそめた今日この頃です。
この早春の良き日に、野添正彦育友会長様、秋野公造参議院議員様を始めとするご来賓の方々、そして誰よりも今日の日を待ち望んでおられた保護者の皆様のご出席のもとに、三木学園白陵高等学校の第52回卒業証書授与式が挙行できますことを、心よりありがたく思っております。

   ただ今卒業証書を授与しました174名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。心からお祝いを申し上げます。高校の3年間、多くの人にとっての白陵での六年間は、今振り返ればあっという間だったでしょうか。しかしそれは、それぞれに苦渋に満ちた、あるいは密度の濃さを感じる多様な日々であり、精神的には必ずしも安定しない日もあったかも知れません。その内実は皆さんしか分からないことで、だからこそ皆さんそれぞれにとっての白陵生活、白陵時代になったのです。

 この卒業式については、本日ご列席の保護者の皆様には、格別なものがあるかと思います。中学から高校へと進むに従って、結局本人に任せるしかないということで、見守るしかない辛さをお感じになったでしょう。子どもとは何ぞやという根源的な思いを噛みしめることもあったかも知れません。加えて、学校からの要求も多く、毎日の苦労は並々でなく、しかしその中で、お子さんの成長を確認してきた3年間ですから、今日の喜びは一入のものがあるかと拝察いたします。改めて、心からお喜びを申し上げます。

 さて、卒業生の皆さんは、「52期生」という、いかにも50周年が終わった白陵の学年として3年間を過ごしてきました。中学の時はミュージカル・劇をやった学年として有名でしたが、高校になっては、アフリカの音楽・文化に触れようとしたこと、講演会を次々と催し、例えば「多文化共生社会の実践とNPO活動」「元肝移植医師が学んだこと」などの演題で話を聞き、視野を広げようとしたことが強く印象にあります。
ロンドンの修学旅行はつつがなく実施できました。さまざまな思い出が残っているでしょう。そのあとの学年はテロ騒動のあおりを受けています。白陵祭を中心とした学校行事も従来と同じ形で実施できましたが、生徒会はかなりシンドイ状況でした。しかしトータルとして次の53期にきちんとつないでくれたこと、感謝しています。

 皆さんの52期の学年は、素直さ・おとなしさということが言われました。私はそれは、現在の先の見えない混沌が関係があるのではと思うことが時々ありました。しかし人は、どういう社会環境・雰囲気であれ、自分の足を踏ん張る拠り所を探しながら、自分の人生を生きていかなければなりません。稀勢の里の横綱昇進にほっとしたものを感じ、東京都の政治改革に何か新しい試みが実るのではないかと期待をいだき、友だちとのやり取りに一喜一憂しながら、今日の白陵を生きており、明日を生きようとしているのです。

 さて今日、新年になって私が見聞きし、これからの生きる糧にしたいと思ったことの一端を紹介し、皆さんへの餞にしたいと思います。
1月の芥川賞は、神戸出身の山下澄人さんが受賞しました。山下さんは、神戸市の専門教育の高校を卒業したあと就職もせず、かといって大学にも進まず、1年近くアルバイトをした後、倉本聡さんがつくった北海道の富良野塾に2期生として入り、俳優や脚本家としての訓練を受け、その後劇団を自分で創って演劇活動を続け、今回50歳での受賞となりました。受賞作の『しんせかい』は、今までの生活を下敷きに、北の地で自給自足の共同生活をしながら、絶対的存在の先生から演劇の授業を受けるという内容の、いわば「自伝的青春小説」です。私は、神戸市灘区出身で、50歳までこんな生き方をしている人がいたということにある種の驚きがあります。
今回、倉本さんが富良野塾を開くときに書いた「起草文」を読みましたが、山下さんがその塾に引かれた理由が少し分かったように思いました。曰く、
 「あなたは文明に麻痺していませんか  石油と水はどっちが大事ですか 
  車と足はどっちが大事ですか  知識と知恵はどっちが大事ですか」と。
ここには、私たち全てに訴える何かがあります。

 山下さんは、彼の経歴から分かるように、皆さんとはおよそ違う生き方を選んだ人です。何が彼の生き方を支えていたのか知りませんが、強い思いがあったのは間違いありません。そして、彼の因って立つ所とは違っても、「強い思い」という点では、皆さんと共通するものがあるのではないかと、私は思いました。

 その「強い思い」をもっと分かりやすい、別の形で示している例が、日本の中小企業です。小さな会社ながら「ものづくり」に命を注ぎ、世界を凌駕する製品をつくっている職人の世界は、私たちに確実な、信じるに足るものの存在を教えてくれます。最近知った2つの会社を紹介します。
山口県宇部市に、蟹風味の蒲鉾、カニカマの製造機械で世界に名高い「ヤナギヤ」という会社があります。従業員わずか150人で、製造機械で世界の70%のシェアを占めています。カニカマの共通名は「スリミ」で、アメリカ・フランスの消費量は日本を上回っています。この会社のモットーは「誰もやらないことをやる」「頼られる会社になる」です。東日本大震災の時は、機械修理特別部隊を編成して東北地方に派遣したのですが、「会社が造った機械は私たちの子どもであり、その子が苦しんでいる時に親が助けるのは当然。お金のことは一切言ってはいけない」と命じたそうです。
次に、東京・立川市にある「メトロール」という会社は、エレベータを寸分の狂いもなく止める「機械式精密位置決めスイッチ」をっくり、従業員100人強で世界に君臨しています。その秘密は、高度な技術への挑戦と、人事・管理部門の人数はゼロという徹底した合理主義の経営です。また、この会社は700種の製品を造っていますが、生産から点検・包装まで全て1人で行う「1個流し」方式で、見込み生産は一切せず(すなわち在庫ゼロ)、製品は国内であれば注文から数日で、ユーザーのもとに届くと言います。

 こういう会社が、日本には数多くあります。確かに、大量生産、大量消費でないと国としての経済発展はないのかも知れませんが、こういう企業の存在は、私どもにある安心感を与えてくれます。私は、こういう中小企業の真面目さ・愚直さは皆さんの日々の学習とそのまま相通じるものだと考えます。

 新年になってから、オックスフォード大学で学び研究したイスラエル人の歴史学者が書いた『サピエンス全史』を読みました。この中にはユニークな視点がいくつもあります。曰く、農業改革によって人は狩猟採集時代より忙しくなって不幸になったとか、今は500年前に比べて人口は14倍になったが、使えるエネルギーは1人当たり114倍になり、エネルギーの枯渇などあり得ないとか、私たちの常識と相いれない主張も少なくありません。
そして一方で、全くか弱かったサピエンスが食物連鎖の頂点に立ち、文明を築いているその鍵は、「虚構」、すなわち想像上の産物、にあると言います。サビエンスは長い年月をかけて、複雑な物語のネットワークを織り上げることで、神話、国家、企業、貨幣、法律、人権、平等などの「虚構」をあらゆる人々に信じこませ、そしてその虚構であるものが見知らぬ多くの人々を互いに協力させるようになったのだと。さらに、近代文明の爆発的な進歩は、諸国を支配する強大な帝国に支援された科学技術の発展が、未来は今よりも豊かになるという、将来への信頼感を生み出し、それが会社づくりや投資を加速させ、パイの拡大を促して資本主義の隆盛をもたらしたと。このように、帝国や貨幣や法律等の価値をそのまま認めるのは完全に西欧中心の発想ですが、過去の人類の歩みを1つの論理で組み立てるとこうなるという叙述は、説得力があります。これは、日本の細部にこだわる美意識とも中国の中華主義とも本質を異にする発想で、キリスト教神学の執拗な論争等が培ってきた哲学・神学の歴史を持つ者の強さが如実に出ているものです。

 現代は確かに、西欧中心の発想自体が問われている時代であり、また、今の日本では目の前の具体的なものが大事にされますが、この筆者は、「強い思い」や「具体的なもの」だけでなく、もっと大きな流れを、別の視点から見る必要があると言っているように感じました。皆さんが大学に行って何を学ばなければならないか、ということへの大きな示唆になっていると思います。

 しかし、皆さんは今、大学受験の真っ最中で、日々自分の今について心配したり、喜んだり、絶えざる点検をしたりしています。このあとも人生は、長い喜怒哀楽の日々が続きますが、人生はそれらの意味を少しずつ分かっていくことでもあります。先が見えないのは不安ですが、「結果の分かったゲームは面白くない」と言って、自らを奮い立たせる生き方を日本人はしてきましたし、皆さんもそうあってほしいと思います。

 皆さんは今日、日陵を卒業していきます。それは、白陵ですべきことはほぼ成し終えたと言うことで、次は新たな段階で、新しい楽しみと生き甲斐を見つけることになるでしょう。お別れの時ですが、それは同時に新しい出発の時です。そういう意味で改めて、これからの前途長い皆さんの発展と幸せを心よりお祈りし、式辞といたします。

平成29年2月11日

             学校法人三木学園白陵高等学校 校長  斎藤 興哉

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答辞

2017.02.11

卒業生代表答辞

 厳しい寒さも次第に緩み、柔らかな日差しと共に、春の訪れを感じるようになりました。 本日はこのように盛大な式を催していただいたことに、卒業生を代表して心より御礼申し上げます。 齋藤興哉校長先生や来賓の方々、在校生からの多くの力強い言葉を頂き、身の引き締まる思いです。

 卒業という節目を迎える今、私たち卒業生の胸には瞬く間に過ぎて行った白陵での時間が思い出されます。 その中で私たちが得られたものは数知れません。 私たちは日々先生方の指導を受け、たくさんの知恵を得ました。それはどれも未知の世界を開くものであり、容易に理解できるものばかりではありませんでした。それでも必死に思考し、理解しようと試みた日々はとても有意義な時間でした。

 文化祭や運動会では、学年の壁を越えて素晴らしいものを築くことができました。各々が自らの役目を果たし、学校全体で1つの作品を完成させる感動を味わいました。イギリスへの修学旅行では、文化や価値観の違いを肌で感じ、私たちが知り得ない世界がまだまだ広がっているのだと痛感しました。球技大会では、朝から練習を積み重ね、当日はクラス一体となって応援し合い、普段味わうことのない団結感を感じました。

 そして、私たちは今、新たな試練に立ち向かっています。毎日毎日勉強に明け暮れ、もうこれ以上勉強をしたくないと何度も思いました。必死に続けた努力が結果として現れず、悔し涙する日もありました。しかし、この試練に挑んでいるのは決して私一人ではありません。周りには共に闘い、励ましてくれる友人がいます。この友人関係は、白陵で共に過ごした思い出と共に私たちの未来を灯してくれるでしょう。

 思い返してみると、あの不安定な足取りで歩んでいた私たちは、多くのことを吸収していきながら、多くの友人と支え合いながら、前を向いて歩んできたのだと思います。しかし、白陵での思い出に浸ってばかりではいられません。なにしろ、私たちがこれから目を向けなければならないのは、懐かしい過去ではなく、遥かに続く未来だからです。今日というこの日をきっかけに、私たちは皆、各々が選んだ道を新たな環境で邁進していくことになります。その過程で、今の私たちには想像し得ない困難が待ち構えているかもしれません。そして、私たちの進む道を明るく照らし、支えになってくれるであろう思い出を振り返るのはそういう時にこそふさわしい。だからこそ、今は未来だけに目を向ける時です。

 最後になりましたが、自信を持てない私たちに進むべき道を照らし、背中を押してくださった先生方、私たちが快適な学校生活を送れるよう支えてくださった職員の皆さま、何度も労いの言葉を掛け、陰で応援し続けてくれた家族のおかげで初めて、本日、こうして卒業の日を迎えることができました。改めて御礼を申し上げると共に、白陵高校の輝かしい発展を祈念いたしまして、答辞とさせていただきます。

平成29年2月11日

                   第52期卒業生代表 八木 孝

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送辞

2017.02.11

在校生代表送辞

 今年は日本中を大寒波が襲い、暦の上ではもう春だというのにまだ寒さが残る今日この頃、先輩方におかれましては、ご卒業おめでとうございます。光陰矢の如しとはまさにこのことで、白陵での生活を一番長く一緒に過ごしてきた先輩方がもう卒業されるのかと思うと、その月日の経つ速さには驚かされます。

 思い返せば、入学したての僕たちを白陵になじませてくださったのが他ならぬ先輩方でした。休み時間に僕らの教室に来て優しく接してくださったり、部活に勧誘してくださったりしていたのが印象に残っています。勉学と部活動を両立させながら、行事に際してリーダーシップを発揮し、活躍する先輩方の姿は、僕たちにとって見本であり、憧れでした。先輩方と過ごしてきた五年間、学年の壁を越えて一緒にはしゃいだり、たわいもない話で盛り上がることもあったと思いますが、それらは懐かしい思い出として、僕たちの心の中にしっかりと残っています。また、僕たちがふざけたり騒いだりしていたとき、度が過ぎていれば叱って止めてくださるのも先輩方でした。今から考えると、先輩方がその場の状況を見て、大人な対応を取っておられたことがよくわかります。僕たちにとって先輩方は、時には友であり、時には年長者として僕たちを指導してくれる、頼れる存在でした。

 そんな先輩方も、今日をもってとうとう白陵を卒業なさろうとしています。今、先輩方の頭の中には、六年間の思い出が走馬灯のように浮かび上がっていることと思います。確かに、今日は白陵との別れの日です。しかし同時に、新たな世界への旅立ちの日でもあります。先輩方には、この白陵で様々な困難を乗り越えてこられた粘り強さと勢いを生かして、より広い世界へと羽ばたいていただきたく存じます。まだ頼りない後輩たちかもしれませんが、先輩方に心配をかけさせないよう、僕たちが先輩方から白陵の伝統を引き継ぎ、全力を尽くして、今後の学校生活をより充実させていきます。またいつか成長した僕たちの姿を見るべく、白陵に来てくださる日を、在校生一同、心待ちにしています。

 最後に、先輩方のご健康と、さらなるご発展を心より祈り申し上げまして、送辞とさせていただきます。

平成29年2月11日

                   在校生代表 高槻 崚

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卒業式の一日

第52回高等学校卒業式の日です。

2017.02.11













































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卒業式予行

第52回高等学校卒業式の予行です。

2017.02.10


卒業式を迎えた高3生の笑顔。




卒業証書の受け取り、礼の仕方を練習。


教頭が美しい礼の仕方を披露。


実践。


卒業生退場の練習。





卒業式予行後、恒例の在校生から卒業生への記念品授与式。現生徒会長あいさつ。


元生徒会代表が最後のご挨拶。

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