卒業式

卒業式

2018.02.11


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学校長式辞

2018.02.11

卒業式式辞

 この冬は寒い日々を多く経験しました。2月に入ってもその度合いは増すばかりでした。それでも桜の木の枝には小さいながら蕾が確認できますし、太陽の光は春の質と量を備えたものに近づきつつあって、私たちをわくわくさせてくれます。この良き日に、白陵高等学校を卒業される186名の皆さん、誠におめでとうございます。野添育友会長様をはじめとするご来賓の方々、教職員一同とともに、皆さんのご卒業を心からお祝い申し上げます。あわせて、今日の卒業式を迎えるまでのご家族および関係者の皆様よりいただいた数々の厚いご支援に対し、心より御礼申し上げます。

 白陵高校が1963年に創立され、1966年に第1回の卒業式を挙行して以来、53年にわたる卒業生の数は皆さんを含めて9138名になりました。皆さんの中には卒業までの日数を数えていた頃のことを思い出す人もいるでしょう。その日数を経過するにはその半分となる日数を経過しなければならず、さらにその半分、さらにその半分と無限の時点を通過しなければならない。したがって卒業式は永遠に来ない? しかし今、前者の時点は確かに後者に追いつき、さらに追い越していくことを目の当たりにするとき、このゼノンのパラドックスにすがることはもうできなくなってしまいました。

 この学年は、中学では初めての5クラス編成でスタートしました。高校からも仲間が加わったこの3年間を振り返ると、世界ではパワーバランスに大きな変化があり、その結果として、シリア難民の増大や、修学旅行の行先変更の原因ともなったISのテロなど悲しい出来事が発生しました。国内では、熊本地震などの災害があり、また森友・加計学園問題、豊洲市場移転問題などに揺れました。一方心弾む出来事もありました。2015年のラグビーW杯では日本3勝の快挙、またその年のノーベル賞には大村氏・梶田氏が、翌年には大隅氏が選ばれ、そして昨年は5歳まで長崎で育った英国人のカズオ・イシグロ氏が文学賞を受賞しました。青山学院の箱根駅伝4連覇、将棋の藤井聡太5段の快進撃なども思い出します。そして今、平昌オリンピックが始まっています。このような中にあって皆さんはどのような学園生活を送ったのでしょうか。私が横から見る限り、高い人格があるのかないのかわからない学年主任、それに輪をかけて不可解で多様な学年団の先生たちに囲まれて育った皆さんでしたが、この53期生の特徴を学年のある先生は「元気で団結力があり、学校を休まない。学校が好き」と表現してくれました。なるほど、行先がロンドンから北海道に変わった修学旅行でも、くさることなく前向きに受けとめ、充実した楽しいものにしようと団結しました。続く文化祭や運動会ではみんなが盛り上がるように工夫し素晴らしい白陵祭をつくり上げました。その姿勢は後輩に対して大きな刺激になっていたようです。また先月のセンター試験では、個々には出来不出来があったでしょうが、学年全体としては、最近では出色の成績となり、後輩に勇気を与えるものであったことを付け加えておきます。

 前述のカズオ・イシグロ氏の本に『Never Let Me Go(私を離さないで)』というのがあります。人間に臓器を提供するために作られたクローンたちを育てる学校の様子が描かれた、ショッキングな内容で、読後どうにも咀嚼できない部分を多く持ちました。早稲田大学名誉教授で文芸評論家の加藤典洋氏によれば、この作品は、この世に核兵器や原発などというものが開発されずに、医学の分野で、生物学的にきわめて重要な発見がなされていたとしたなら、という仮定の下に書かれたSFなのだそうです。もし広島と長崎に原爆が落ちなかった世界があるとして、同等の悲劇に見舞われた人としてのクローンたちというわけです。人間よりも少し反応が鈍くなるようにつくられ、またそのように教育されるクローンたち、これが戦後の日本人のアナロジーであるということでしょう。1954年長崎生まれのカズオ・イシグロ氏を欧米の小説家から隔てているものは、このようなものの見方、感じ方であり、加藤氏は、このような「敗者の想像力」といえるものを日本人はもっと持つべきではなかったかと主張します。私たちは、敗戦を終戦、占領軍を進駐軍と言い換え、原発を推進し、核の傘にまもられ経済成長に邁進してきたのでした。人間は、負けたことをなかなか認めないようにできています。そこをごまかし、次のステップに乗り換えてしまうとき、「ねじれ現象」が生じ、本当の進歩が閉ざされるということでしょうか。

 この考え方については、日本のナショナリズムの性質やパワーバランスの歴史的位置づけなどを考慮に入れて、異を唱える人がいるかもしれません。しかし人生をいかにして生きるか、あるいは個々の人間の成長という観点から見ると示唆に富んだ内容を持っています。例えば、白陵での皆さんに対する先生方の対応を思い出してください。皆さんが単に追いつき追い越せだけの競争主義や、どうせやってもダメだからという回避主義に陥った時、それでよしと先生方は言ったでしょうか。決してそうではなかったと思います。反対に、皆さんが自分の至らない部分をごまかすことなく自覚し、なにがしかの努力から新しい道を切り開いていこうとしたときは、その背中を暖かく押してくれたのではないでしょうか。人間は、失敗し、敗者となり、時に挫折する弱い生き物です。しかし大事なことは、こと自分に関しては弱さを認めた上で、なおかつその弱いことを特権とする人生観には立つなということです。これは55年にわたって変わらない白陵での学びの基本です。そして皆さんは学園生活の中でそのような襷を先輩たちから引き継ぎ、今の成長を迎えているのだと思います。

 白陵で共に学んだ仲間たちは、価値観をその深いところで理解もしくは共有できる仲間なのではないでしょうか。これから多くの新しい仲間と出会ってください。そのとき、必ず白陵での経験が生きてくると思います。白陵の卒業生として誇れる出会いがたくさんあることを願っています。さて、そろそろ私たちが皆さんに教えることもなくなってきたようです。駅伝などでは相手を追い抜くとき、できれば力を振り絞って一気に抜き去るのがよいとされています。その同じような決然さをもって、威風堂々の音の風に乗って白陵の門を後にしてください。次の門に向かうために。

 本日は誠におめでとうございます。

平成30年2月11日

                学校法人三木学園白陵高等学校 校長 宮﨑 陽太郎

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答辞

2018.02.11

卒業生代表答辞

 厳しい寒さの中にも、時折、頬に当たる風に早春の気配を感じる頃となりました。 本日はこのように盛大な式を催して頂いたことに、卒業生を代表して心より御礼申し上げます。

 宮﨑陽太郎校長先生や来賓の方々、在校生からの暖かく力強い激励のお言葉を頂き、感謝と共に身の引き締まる思いです。

 今、改めて白陵を見渡してみると、私たちがいかに恵まれた環境で学校生活を送れたかを実感します。 校舎の周囲は山に囲まれ、その山で制服のまま昆虫や動物を探し回っていたことがこの間のことのようです。 教室の窓から季節とともに色合いを変える木々を臨みつつ、このような自然環境に恵まれた白陵で、 私たちは伸び伸びと大きく成長することができました。

 卒業するにあたり、白陵で過ごした日々を振り返ると本当に色々な事が思い出されます。

 クラブ活動においては、運動面や、文化、芸術面でも多彩な才能を遺憾なく発揮し沢山の賞を獲得しました。 限られた時間内で集中して効率的に練習した成果でありますが、 それに向けた姿勢そのものにも私たちは大いに刺激を受けました。

 学校行事では白陵祭と言われる毎年の文化祭や運動会、高校二年生での修学旅行を思い出します。

 文化祭や運動会では、皆が一丸となり短期間で準備や練習をこなして本番をやりきりました。 何事にも全力で取り組む姿勢は白陵祭の成功という最高の形で表れ、その達成感は爽快なものでした。

 修学旅行はこれまでロンドンでしたが昨今の国際情勢のあおりを受け、私たちの学年から北海道に変更になりました。 最初は残念に感じていましたが、北海道の自然や文化、歴史に触れ、食事も非常に美味しく、日本の良さを再認識しました。 さらに、修学旅行を通して初めて深く会話した友人も多く、親友が増えたことはかけがえのない経験になりました。

 勉強の面でも、休み時間には生徒同士で教え合ったり、議論したりしました。 また、生徒自らが勉強会を立ち上げ、土曜日の放課後に輪番制で問題を出し合って解説するなど、 お互い切磋琢磨し合う良い関係を構築できたと思います。

 こうして振り返ると、私たちは三年間の白陵生活で大きなものを得ていたことに気付きます。 五十三期生の皆さん、今一度周りを見渡してみてください。 お互いに励まし合い競い合った信頼できる仲間が沢山いませんか。 共に笑い、共に悲しみ、時にはぶつかることもありましたが、それらが思い出のアルバムの一ページに刻まれた時、 それを宝物と言わずして一体何を宝物と言えましょう。

 さあ、いよいよ二週間後には、高校生活最後の壁である国立大学の二次試験があります。 大学入学後の人生においても幾多の困難が待ち構えていることでしょう。 しかし、私たちは決してくじけません。白陵在学中に学び、経験した沢山のこと。 白陵にいたからこそ出会えた個性的な先生方や仲間たちとの思い出。 それらを最大限糧にしつつ、自信を持って今後の難題に取り組んで行く決意です。

 在校生の皆さん、クラブ活動や白陵祭では一緒に盛り上げてくれてありがとう。 皆さんが後輩で本当に嬉しく思います。これからも、白陵生活を謳歌しつつ、 いろいろな目標に向かって日々研鑽してください。そして、私たち以上に活躍し、 白陵を更に発展させてくれることを期待しています。

 最後になりましたが、私たちを親身になって指導くださった先生方、 私たちの学校生活を支えてくださった学校職員の皆さま、本当にありがとうございました。 そして、いつも私たちを側で見守り続けてくれた家族にも心から感謝しています。

 白陵高等学校の今後の益々のご発展と、後輩の皆さんの活躍を祈念いたしまして、答辞とさせていただきます。

平成30年2月11日

                   第53期卒業生代表 中岡 朗典

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送辞

2018.02.11

在校生代表送辞

 数十年ぶりの厳しい寒さが続いています。その中でも草木はようやく長い冬の眠りから覚め、生命の息吹がうかがえる季節となりました。このような良き日に卒業生の皆様が晴れて高等学校の全過程を終えられご卒業を迎えられましたことを在校生一同、心よりお祝い申し上げます。と同時に先輩方とのお別れが、これほど早いとは信じられず、今もなお寂しい気持ちがこみ上げてくるのを禁じえません。

 皆様が希望と勉強への覚悟を胸にこの白陵高等学校の門をくぐられてから早三年、かけがえのない様々な思い出が走馬灯のように、頭に浮かんでおられることは容易に想像できます。私たち在校生にも目を閉じると、先輩方と共に過ごした数々の思い出が蘇ってまいります。何よりも入学したばかりでおろおろしている私たちに優しく声を掛けてくださったその時から、先輩方は常に私達の模範であり、憧れの存在でした。

 また、白陵祭では先輩方がリーダーシップを発揮なさることで、私達をまとめ、そして盛り上げてくださいました。そんな姿とは別に毎日遅くまで学校に残って必死に勉強されている先輩方の姿がありました。

 そのひたむきに努力する姿を拝見し、進路希望を実現することの厳しさと、夢に向かって頑張るという強い意志を感じることができました。この先、先輩方は進学、それから就職にと、それぞれの道を進まれるわけですが、先輩方の前途には素晴らしい未来が開かれていることはもちろんですが、その道は決して平坦なものではないと思われます。

 しかし、この白陵高等学校の校訓校是である独立不羈とあるように他から何の束縛、制約も受けること無く、先輩方ご自身お考えに沿って、明るい笑いとともに乗り越えていってください。

 まだまだ頼りない後輩たちかもしれませんが、先輩方が熱い思いを託して築き上げてこられた、この白陵高等学校の伝統を大切に受け継ぎ、さらに発展させる覚悟です。先輩方もこの母校、白陵高等学校をいつまでも忘れることなく温かく見守り、ご支援くださいますよう心からお願い申し上げます。

 最後となりましたが、先輩方のご健康と、さらなるご発展を心よりお祈り申し上げ、在校生代表の送辞とさせていただきます。

平成30年2月11日

                   在校生代表 江口 優人

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卒業式の一日

第53回高等学校卒業式の日です。

2018.02.11
















































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卒業式予行

第53回高等学校卒業式の予行です。

2018.02.10







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