卒業式
卒業式
2019.02.11
学校長式辞
2019.02.11
卒業式式辞
この冬は比較的暖かいものでしたが、ここに来て大変寒くなっています。
それでもここに至るまでの寒暖の変化の大きさは、
いよいよ本格的な春の到来を準備する確かな足音でもあるのだろうと感じられる今日この頃です。
この良き日に、白陵高等学校を卒業される188名の皆さん、誠におめでとうございます。
下山育友会長様をはじめとするご来賓の方々、教職員一同とともに、皆さんのご卒業を心からお祝い申し上げます。
あわせて今日の卒業式を迎えるまで、ご家族および関係者の皆様よりいただいた数々の厚いご支援に対して、
心より御礼申し上げます。
白陵高等学校の卒業生の数は54期生の皆さんを含めて9326名になります。
この学年は中学5クラス編成の2年目に当たり、高校から新しく7名が加わってのこの3年間がいま過ぎ去ろうとしています。
3年前の入学式において、斎藤校長からの式辞に“「学ぶ」とは胸に真実を刻み込むことである”という文言がありました。
それを聞いた皆さんの学園生活に影響を与えた「真実」の1つに「IS(Islamic State)によるテロ」があります。
入学した前の年にはISによるテロがついにヨーロッパにも広がり、
1年先輩の53期生は修学旅行をロンドンから北海道に変更せざるを得なくなりました。
若干テロが下火になり来年は大丈夫かと思っていましたが、最終判断を迫られる高1の7月頃、
フランスやドイツで立て続けにテロが起こり、ロンドン再開を断念することになりました。
君たちの落胆は相当なものでした。高2になっての北海道修学旅行で空港の出発搭乗口に向かう途中、
引率していた私の後ろからの「来年ロンドンやったら恨んで出たる・・・」という女生徒の低い声はいまでも私の耳に残っています。
しかし結局彼女が恨んで出てくることがなかったのは、次の年も北海道であっただけではなく、
その旅行自体が思い出に残る大変楽しいものだったからでしょう。
おいしい食事、旅館での交歓会では教員・カメラマンも交えてのダンス、
行くところ行くところ雨が上がる「持っているなあ」という幸運。知床半島での抜けるような青空を覚えていますか。
もう1つの真実に「雨」がありました。君たちが入学した年、
それまで球技大会が2年連続「雨プロ」だったからという理由で、
球技大会を例年より-半月遅らせた行事予定を組むことになりました。
しかし天の優しさはそれを先読みし、それに付き合った雨の方も半月遅れて結局「雨プロ」、
天の情けを無にしたバチが当たったからだと次の年も半月遅らせたままにした高2での球技大会は、
「雨プロ」。ここで戻すと天に笑われるだろうとやはりそのままにした高3での球技大会は、天に笑われ「雨プロ」。
54期生はどんな学年ですかとある先生に聞くと、「真面目で優しくて仲が良い」とのこと。
天はそういった者にこそ試練を与えるのでしょう。それでも野球部員などが全力で水を抜き、
ソフトボールが決勝戦だけでもできたことを思い出します。
これらの出来事を胸に刻めばいいのだなということで、「ISのせいで北海道となった」とか
「球技大会といえば雨だった」ということを覚えておこうとあの時、斎藤校長は言ったのでしょうか。
それは「事実を覚える」ということではあっても「真実を胸に刻む」ということではないようですね。
真実というのはもっと主観的なことです。さらに言えば、それらの事実をうけて、
その時は気づかない多様なとらえ方が脳の回路の各所で行われ、時としてそのうちの優位なものが意識に上ってくる、
そのなかで調整された「これだ!」というものが真実なのだと思います。
君たちはこの3年間に多くのことを経験し、多くの真実を胸に刻んできたことでしょう。
それらは君たちが得た宝物です。しかも時間とともに色あせてしまうものではなく、
新しい経験によってさらに豊かな色彩を帯びるもの。そうです、事実は1つでも真実は様々であり、
変化するものなのです。そういえば、「Inochi学生フォーラム2017」で「認知症の社会的課題に取り組む」
というテーマの発表を行い、見事グランプリを獲得したのはこの学年のチームでした。
彼らが作った「認知症かるた」の1枚に「う:うれしい気持ちだけは覚えてる」というのがありました。
事実としての記憶は脳の奥底から取り出せなくなっても、
そこから生まれた「真実」としての「うれしい気持ち」は引き出すことができるという主張には目を見張るものがありました。
一方、この学年にのみ当てはまる事実の1つに、平成最後の白陵高校卒業生というのがあります。
元号というのは今や日本でしか使われませんが、西暦などの無限システムとの大きな違いはその有限性です。
平成の終わりが、そのまま新しい時代の始まりを意味するものではありませんが、
昭和から平成への流れは天皇の位置づけの変化とともに元号の意味が大きく変わりました。
そして、昭和・平成の60年・30年といった区切りは、一括りとして捉えやすく、
したがってその特徴を言語化しやすいという性質があります。
創立からの白陵は昭和時代と平成時代の2つにほぼ等分でき、後半の平成時代は成熟期だということができると思っています。
54期生はこの時代のラストランナーとなりますが、
これから続く卒業生達が勇気をもって進んでいけるような先導役になってほしいと願っています。
人工知能(AI)の進歩で人間の仕事はこれからどうなるのだろうといった心配や、日本では国内的にも、
外交の面でも多くの難題があります。
AIの進歩のスピードについては、これまでのところ思ったより遅かったという捉え方もあり、それは私の実感とも一致します。
1つの問題に対し、それを解決するための解決法を1つ探すという考え方がその阻害要因に挙げられています。
このとき、1つの問題に対しどれだけ複数の解決法があるかという、
生物の進化や脳の回路が自然に持っているアプローチがヒントになります。
そのアプローチの特徴は「冗長性(redundancy)」です。
数学の問題を解くのでも解法が他にないかを考えたとき、それぞれが違った風景を進み、隣接する新しい問題を誘発したり、
その勉強自体が豊かなものになったりしたことを覚えているでしょう。
別解の多さは、逆にその問題を進化させます。別解という真実が、より大きな真実の到来を加速するのです。
人間のなすべきことはいくらでもあり、正解のない解決すべき問題が君たちの多様な挑戦を待っています。
さて、白陵という船に乗り合わせた君たちにも、その船から降りる時が来たようです。
乗船中、なかには船酔いに苦しめられた人もあるでしょうが、ついに船着き場までたどり着きました。
白陵での些細な出来事として今は意識に上らないことも含めて、いや、日常の些細なことこそ、
これからの人生を支えてくれる「カラフル(高2時の白陵祭のテーマ)」な真実となり、
これからの君たちの人生を後押ししてくれるでしょう。あなたにとって解決すべき問題は何ですか。
そこから逃げずに勇気を持って進んでいってください。幸多き人生であることを祈ります。
本日は誠におめでとうございます。
平成31年2月11日
学校法人三木学園白陵高等学校 校長 宮﨑 陽太郎
答辞
2019.02.11
卒業生代表答辞
春はまだと告げるかのような見事な雪景色です。しかし、確実に春の訪れは感じることができるようになってきた今日この頃です。
本日は私たち五十四期生のためにこのように盛大な式を設けてくださったことを、
卒業生を代表して心より御礼申し上げます。
宮崎校長先生をはじめ、来賓の方々、在校生からの暖かい激励を戴き、感謝と共に身の引き締まる思いです。
この三年間を振り返るとまず浮かんでくるのは、日々の授業風景です。
先生方の思いのこもった面白い授業からできる限りのことを吸収しようと頑張りました。
授業後には分からないことを先生や友達にきいて、理解を深め合いました。
テストのときには点数を友達と競い合って更なる向上を目指して切磋琢磨しました。
先生方の何気ない問いかけに対して反応が薄くて、先生方を困らせてしまうことも多々ありました。
そのような毎日の光景が終わりを迎えようとしていると考えると、感慨深いものがあります。
運動会や文化祭では、異常気象のせいで思い通りにいかないことも多くありましたが、
先生方や在校生と一緒に必死に準備し、盛り上げ、そのときだけは勉強のことを忘れて楽しみました。
特に今年度の運動会は私たちにとって最後の運動会でしたが、延期が相次ぎ、中止になるかもしれないという不安もありました。
そのような中でなんとかできた運動会だっただけに、いつも以上に達成感がありました。
また、北海道への修学旅行では、北海道の自然や文化、歴史に触れるとともに、友達や先生方との思い出作りに奔走しました。
普段の授業では学べないことをたくさん経験し、また友達の新たな一面が垣間見えたりして、
友達との交流もより一層深まりました。
僕がこの学年に対して思うのは、五十四期生の先生方も含め、一つの大きな家族のようであったということです。
皆個性的でありながら、全体としてまとまりがあり、何か抱擁されているかのような安心感があったように感じられます。
五十四期生の一員としてこの白陵高校での三年間を過ごせたことを僕は誇らしく思います。
これから大学受験という一つの正念場があり、その先にも一筋縄ではいかない困難がたくさん待ち構えていることと思います。
でも白陵高校で得た知識、経験を活かし、仲間と助け合えば、怖いものなんてありません。
各々の臨む道を、胸を張って歩んでいきたいと思います。
最後になりましたが、私たちを親身になって指導してくださった先生方、私たちの充実した学校職員の皆さま、
そして今まで私たちをそばで暖かく見守り励ましてくれた家族に感謝の意を表するとともに、
白陵高校の更なるご発展を祈念いたしまして、答辞とさせていただきます。
平成31年2月11日
第54期卒業生代表 淺野 壮一郎
送辞
2019.02.11
在校生代表送辞
立春とは名ばかりの厳しい寒さが続いております。蛍の光を歌うにふさわしい美しい雪景色となりました。
このような良き日に卒業生の皆様が晴れてご卒業を迎えられましたことを在校生一同、心からお祝い申し上げます。
出会ったのがついこの間のように思われ、先輩とのお別れを寂しく感じます。
振り返ってみると、たくさんのかけがえのない思い出があります。
入学したての右も左も分からない私たちに掃除を丁寧に教えてくださったり、部活では分かりやすく指導してくださったりと、
優しく接してくださいました。先輩方は文化祭、運動会をはじめ様々な行事や、部活動など日常生活において、
いつも私たち後輩の見本となり、リードしてくださいました。
例えば先輩方が高校二年生の時に軸となって運営された昨年度の文化祭は台風の影響で一日延期となり
、混乱しました。しかし先輩方が率先して動き、臨機応変に対応され、私たち後輩をまとめてくださったことで、
無事に成功を収めることができました。自分たちが、先輩方と同じように運営する立場になると、
その苦労が身に染みてわかりました。今年度も度重なる変更がありましたが、先輩たちを手本とし、
無事終了することができました。また部活動や行事で見られる先輩方の姿とは違って、
遅くまで教室に残って勉学に日々ひたむきに取り組まれる姿は私たちの目指すべき目標です。
今日という卒業の日を迎え、校章の白鷺のように先輩方は高い理想を掲げ、未来に向かって飛び立とうとされています。
その先には、困難もあるかもしれませんが、
先輩方は白陵で学んだことと培われた精神力を糧に新しい世界でもさらにご活躍されることと思います。
先輩方はいつまでも私たちの憧れです。これからも私たちに素晴らしい背中を見せ、輝き続けてください。
そして、まだ頼りないかもしれませんが、これからは私たち後輩が、先輩方の築いた白陵の伝統を守り、
受け継ぎ、さらに発展させていきます。成長した私たちの姿を見るべく、
先輩方が白陵に来て下さる日を心待ちにしています。
最後に卒業生の皆様のご健康と、さらなるご発展を心よりお祈り申し上げ、
在校生代表の送辞とさせていただきます。
平成31年2月11日
在校生代表 三木 万梨子
卒業式の一日
第54回高等学校卒業式の日です。
2019.02.11
卒業式予行
第54回高等学校卒業式の予行です。
2019.02.09