入学式
入学式全景
2019.04.06
学校長式辞
入学式式辞
3月の末から寒い日が続いていましたが、4月になり桜も咲き始め、今や満開を迎える今日この頃です。
この良き日に、三木学園白陵中学校に入学された197名の皆さん、白陵高等学校に入学された194名の皆さん、
ご入学誠におめでとうございます。ご列席の下山育友会長様をはじめとするご来賓の方々、および教職員とともに、
皆さんの入学を心よりお祝い申し上げます。また、保護者の皆さまには、本日を迎えるまでのご苦労に対して、
敬意を表するとともに、お子様のご入学を心よりお慶び申し上げます。ここで、学園を代表して、
お祝いと激励の言葉を贈りたいと思います。
皆さんは白陵中学校・白陵高等学校のそれぞれ57期生となります。今日は皆さんにとって新しい生活の第一日目です。
誠におめでとうございます。白陵に新しく入学される皆さんには課題図書5冊のうちから一冊を選んで読んでもらいました。
そして中学に入学される皆さんには既に感想文を提出してもらいました。本を読んで感銘を受けたこと、
参考になったこと、ここは理解できないということなどが、
これから入学するにあたっての意気込みと共に素直に表現されていました。さすがに合格を手に入れただけあって、
よく書けていると感心しました。高校から新しく入学された皆さんは、今日が提出日です。
また、白陵中学から白陵高校に進学した皆さんとは、これまでの3年間という深いつながりがあります。
そのような皆さんですが、これまで生きてきた背景は様々であり、性格も考え方も意気込みも違っています。
しかし、皆さんには平等に与えられたものがあります。それは1日24時間という時間です。
それをこれからの毎日でどのように使っていくかによって、
皆さんの将来の在り方は大きく違ったものになるのではないでしょうか。
入学当初はうまく1日を使えても、慣れていくにしたがって入学時の志を忘れ、
うまくいかない日々が多かれ少なかれ訪れると思います。それは心が混乱している状態といえます。
仏教では心を乱す要因を三毒と呼んでいます。それは、貪(とん)瞋(じん)痴(ち)の三つで、
日々の生活をチェックすることができます。貪とは貪ること。欲望に吸い込まれてしまうことです。
ゲームをしたい、YouTubeを見たい、メールをしたいという欲求に吸い込まれ、時間を失います。
瞋とは怒ること。環境への反発です。うざい、うるさい、暑い、寒い、といってイライラし、時間を失っていきます。
痴とは愚痴を言うことです。現状に縛られ滞ってしまうことです。できないことの言い訳や、
人の欠点を探すばかりで自らは前進せず、これも時間を失います。
このように混乱したとき、心を整えていくための方法があります。
それは何のために勉強するのかを考えてみることです。勉強は手段です。したがってその目的は何かということです。
例えば刃物でもそれを使う目的によっては、人を傷つけるものにも、
人を喜ばせるものにもなります。勉強では点を取ることが目的でしょうか。
成績が下がったりすると、親や先生から叱られるから点数を取っておけばいい、
面白くなってきた部活が忙しく時間がないので、手っ取り早く点数だけ取ればいい。
これは、大学に合格しさえすればよい、あるいは、目標の職業につければそれでよいという考え方と同じで、
勉強量をできるだけ少なくして結果だけを求める態度だといえます。
競争に勝ったり、ある立場を得たりということが目的の勉強では、単なる苦痛にしかならず、
そうして得た知識は人を傷つけるものにもなります。日本では昔、
科学技術で後れを取ってはいけないと「詰め込み教育」をしたことの弊害で、
多くの混乱した生徒をつくってしまいました。これでは駄目だと、
勉強量を少なくする「ゆとり教育」が始まり、最近まで長く続けられてきました。
しかしこれでは学力が低下し、これからの新しい世界ではやっていけないといって、今の教育界は混乱しています。
このように右往左往するのは勉強の目的に対する一貫した考え方がないことによります。
勉強の目的は(時間がないので手っ取り早くいってしまうと)、1つは英知の継承です。
これは勉強以外ではできません。
数学者が生涯を通して発見した定理をわずか1時間で知ってそれを使うことができるようになりますし、
集合論の創始者ゲオルク・カントールが「数学の本質はその自由にあり」と叫んで亡くなったエピソードとその背景を知り、
心を震わせることができます。また、日本の教育の歴史を1時間勉強すればその問題点を知ることができ、
これからどうすべきかが見えてきます。人間がなした様々な事柄を知って、
それを自分のものにしていくことができるのです。
どうですか、やるべきことが見えてきたのではないでしょうか。
自分の将来を本当に考えたとき、今やるべきことが見えてきます。
大学のキャンパスでどのような格好をし、何を考え、どのように勉強しているかを想像してみてください。
その将来の自分から今の自分を眺めてください。勉強をしないともったいないですね。
やるべきこととやりたいことが一致するよう頑張ってほしいと思います。
勉強しようとするとこの教科が苦手だとかは出てきますが、
そんな時はその教科の先生を好きになることです。好きになれなくても、
その先生がどうしてその教科を好きになったかを聞いてみてください。
好きになると勉強が楽しくなります。深く勉強することができるようになり、
今日の自分が更新され、新しい自分に変わっていきます。
そうです、勉強のもう1つの目的は、自分を磨くことです。
幅広く勉強することによってバランスよく磨かれていくことでしょう。
そうして、より多くの人に必要とされる人間になっていくことができるのだと思います。
これは皆さんが将来職業に就くときの働く目的にもなってきます。
激励のつもりが「転ばぬ先の杖」の話ばかりしてしまいました。
しかし転んでみることも、より大きな成長には必要かもしれません。
「転んだ先」もあります。その時にしっかり悩みましょう。周りの人にも相談してください。
しっかり悩める人には、しっかりと相談を受けとめてくれる人が周りに必ずいることでしょう。
最後に改めて、白陵中学57期になります中学1年生、白陵高校57期になります高校1年生が、
1日24時間をうまく使い、大きくたくましく成長していきますことを祈念し、式辞といたします。
本日は誠におめでとうございます。
平成31年4月6日
学校法人三木学園白陵中学校・白陵高等学校 校長 宮﨑 陽太郎
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