卒業式

卒業式全景

2020.02.11


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学校長式辞

2020.02.11

卒業式式辞

 立春が過ぎてから、寒い日もありましたが、太陽の光の量は日に日に増しています。 それを浴びると出るセロトニンが私たちの免疫力を増進させ、たとえコロナウイルスが忍び寄って来ても、 跳ね返してくれそうな今日この頃です。

 この良き日に、白陵高等学校を卒業される186名の皆さん、誠におめでとうございます。 下山育友会長様をはじめとするご来賓の方々、教職員一同とともに、皆さんのご卒業を心からお祝い申し上げます。 あわせて、ご家族および関係者の皆様よりいただいた数々の厚いご支援に対して、心より御礼申し上げます。

 白陵高等学校の卒業生数は、55期生である皆さんを含めると、9512名になります。 この学年は中学5クラス編成の3年目に当たり、高1から新たに4名が加わってのこの3年間がいま過ぎ去ろうとしています。 高1の春でした。皆さんの先輩は2年続けて、修学旅行は北海道でしたが、この学年はいよいよイギリス再開かと、 準備をしていました。しかし、その5月と6月に、イギリスで立て続けにテロがあり、結局、北海道への修学旅行となりました。 高2になっても、4月にはインドネシアで、5月にはフランスでテロがあり、やはりしかたがないのかなと思ったことでしょう。 しかし、皆さんが訪れた北海道は天候に恵まれ、思い出深い修学旅行となりました。

 催しものなどで最後に登場する人を「とり」と言いますが、この学年は、いろいろな面で「とり」の役回りのようです。 3年続いた「北海道修学旅行」の「とり」でしたが、球技大会では例年「雨プロ」が続いた最後の学年、 1990年から始まったセンター試験の「とり」、平成年度卒業生の「とり」、それに高校制服着用学年の「とり」。 素晴らしいことです。「とり年生まれ」ですか。「へびー!」との声が多いようです。 なるほど、「へびーなとり年」というわけですね。

 そういえば、白陵の創設者である三木省吾先生も旧制姫路高等学校卒業の「とり」であり、だからこそ、 その再現を夢見て、白陵を創ったところがあります。終わりがあるから次の始まりがあるのです。 いろいろな終わりを体験した皆さんは、それだけ新たなスタートへの意識が高くなっている学年だと思います。 この高校卒業もそのような目で自身を捉えてください。

 そのような皆さんに送りたい言葉は「思考力」です。この言葉との関りで思い出すのが、 皆さんが高1の年の流行語大賞に選ばれた「忖度」という言葉です。 国有地を格安で売買した問題をめぐる記者会見での、首相の意向を汲む「忖度」という言葉が話題になりました。 「忖」も「度」も「はかる」という意味で、もともとは、他人の気持ちを推し量るという中立的な、 あるいはむしろ相手を思いやる気持ちが込められた言葉であったと思いますが、それ以来、 「自分よりも立場が上の人の心情を汲み取り、それに配慮した行動(それも、社会的に望ましくない行動)をすること」 といった意味として使われるようになりました。

 そこで、「思考力」との関連ですが、日々の生活の中で私たちは、些細なことから重要なことまで、決断することの連続です。 その決断には、意識しないで行う場合も含めて思考が伴っています。 従って、思考の良し悪しが決断に直接影響を与えるということになります。 ここで言う思考力とは、良い方向に考える力ということです。 つまり、思考力があるとは、単に頭が良いということではありません。 頭の良い人はなにかにつけて「出来ない」とは言えず、課題を出す人の喜ぶ答えを出してしまうところがあります。 これが流行語となった「忖度」と繋がってきます。

 日々進んでいくその人の歩む様子を、例えば、ベクトルで表すことが出来るでしょう。 ベクトルとは、大きさと向きを併せ持った量です。 この場合、大きさはその人のやる気や能力などの総合的な力の絶対量ですが、それがいくら大きくても、 どちらを向いているかで全く違ったものになります。間違った方向に進んだ場合、力の大きさが大きいほど、 より近所迷惑な存在にしかなりません。

 その昔、私が高校生の頃、学園長が、前庭での昼礼で、「プリンシプルを持て!」と言ったことをよく覚えています。 プリンシプルとは原理・原則のことです。今考えると、まさにこのことを言われていたのだと思います。 「あなたの原理・原則は何ですか?それを考えなさい」ということです。 原理・原則の名に値するもの、それは良い方向でなければいけません。 そしてそれはいったん決めたら盲目的に固執するというものではなく、その都度アップデートしていくものです。 これを実行する力が思考力というわけです。

 イギリスの週刊誌『The Economist』が出す、毎年恒例の「世界民主主義指数」(Global democracy in retreat)の 2019年度版が、この1月21日に発表されました。アジアのトップは韓国の23位。日本はその下の24位です。 このランキングはどうあれ、民主主義国家を標榜しながら、目先の損得勘定などに惑わされて、 民主主義とは何かをその原理・原則から捉えるといった思考力を磨いてこなかったのではないでしょうか。 向きがずれていたのです。皆さんにはこの思考力を磨いていってほしいと願っています。

 さて、旅立ちの時が来ました。いよいよ大きく社会に踏み出し、人生の課題と正面から向き合う時がやってきます。 今持っている思考力をフル回転して、まず課題の仕分けをしてください。 努力してできることと、そうでないこととに分けるのです。努力の範疇にないことは、差し当たっては放っておきましょう。 そのようにして、残った課題に対しては、楽しく努力していけるように工夫してください。 努力の各瞬間が生きたものになってくると思います。皆さんが高2の時、 白陵祭のテーマに掲げた「Moment」はそういう意味であったのではないですか。幸多き人生であることを祈ります。

 本日は誠におめでとうございます。

令和2年2月11日

                学校法人三木学園 白陵高等学校 校長 宮﨑 陽太郎

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祝辞

2020.02.11

来賓祝辞

 一年前の今日は雪の卒業式でしたが、暖冬の今年は春を感じさせる陽気に恵まれました。

 卒業生の皆さん、卒業おめでとう。中学から、あるいは高校から、学ぶ日々を送ってきたこの白陵を後にする日が来ました。 これから入試本番を迎える時期に卒業と言われてもピンと来ないかもしれませんが、まずはおめでとう。

 保護者の皆様方、お子様が白陵を卒業します。ご卒業おめでとうございます。 入学以来、力を合わせて喜怒哀楽を乗り越えてきたお子様が人生の次のステップへ進むことを、心よりお慶び申し上げます。

 さて、卒業生の皆さん、きかんしゃトーマスを覚えていますか?トーマスが良い仕事をすると、 トップハムハット卿はいつもこう言って褒めてくれました。「トーマス、お前は本当に役に立つ機関車だ。」

 ここには、子供たちには役に立つ人になって欲しいという作者の願いが込められていますが、それは私たち親にとっても同じです。 皆さんには、世の中で役に立つ人材に育って欲しいと願っています。

 ところで「役に立つ」とはどういうことでしょう。それは、他人様の困りごと解決を手助けできるということです。 海に落ちて困っていたパーシーをトーマスが助けた時のことは、私も覚えています。 また、問題解決ができれば他人様から喜ばれ、その付加価値に対して報酬が得られます。 そしてお金がたくさんあればより多くの人の力を結集して、より大きな問題解決に当たることができ、 より多くの報酬につながります。だから皆さんには役に立つ人に育って欲しいのです。

 「トーマス、お前は本当に役に立つ機関車だ」
 “You are so really a useful engine!”

 トーマスは機関車なので “a useful engine”は「役に立つ機関車」と訳されましたが、 皆さんは人なので「役に立つ原動力」というのが適切でしょうか。大学で多くを学び、社会に出たら「役に立つ原動力」 “a useful engine”として活躍することを期待しています。

 因みに、きかんしゃトーマスは今、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)を世界中の子供たちに案内しています。 時代が変わっても新しい使命を与えられて役に立ち続けている姿は、見習うところがありますね。

 最後に、ここから先の一ヶ月で入学試験は終わります。その間皆さんは経験したことのない緊張感に晒されることでしょう。 しかし、それは皆さんの人間力を鍛えてくれます。ですからこの緊張感を維持して、ベストパフォーマンスを発揮して、 大学入試を乗り切ってください。

 本日はご卒業おめでとうございます。

令和2年2月11日

                   三木学園白陵高校 育友会会長 下山 智

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答辞

2020.02.11

卒業生代表答辞

 今年は異例の暖冬の年と言われ、厳しい寒さもあまりなく、梅も咲いてしまうほどの春のような暖かさが続いています。 本日は、私たち五十五期生のためにこのように盛大な式を設けてくださったことを 卒業生を代表して心より御礼申し上げます。

 宮﨑陽太郎校長先生はじめ、来賓の方々、在校生からの温かく、力強い激励を頂き、 感謝と共に身の引き締まる思いです。

 卒業に際して、これまで白陵で過ごしてきた月日を思い返したとき、 真っ先に思い出されるのは何気ない学校での一瞬一瞬です。刻々と変わってゆく自然に囲まれた環境の中で、 時にクラスメイトと笑い合ったり、時にテストの点数を競い合って喜んだり悲しんだり、 そしてまた次に向かって努力しようと誓ったり。また、授業では本来の学習内容だけでなく、 まさに「教養」とも言うべき知識も先生方は教えてくださりました。 「学び」とは何かという根源的な問いに対する姿勢を教えてくださったような気がします。

 学校行事で思い出されるのは、やはり運動会、文化祭、そして修学旅行です。 特に、私たちの学年にとって最後の昨年の運動会では練習中から猛暑が続き、心身共に疲れ果てましたが、 学年や団といった垣根をこえて学校全体が一致団結したことで得られた一つの作品のようなものへの 達成感は何にも替えがたいものとなりました。

 ロンドンではなく北海道への修学旅行。当初は多くの人から不満の声ももれていましたが、 実際に行ってみると、北海道の自然の雄大さと、歴史や文化に触れ、また食事もおいしく、 これは北海道でなければ、味わえなかったのではないかという良さがありました。 確かに、旭山動物園では、何組ものカップルを目撃したことで、動物たちの生態を見ていたはずが、 いつの間にか人間のある種の「生態」をも見る羽目となり、悲しそうにアイスを食べる男子と慰め合うことはありましたが、 しかしそれでも友達の新たな一面を垣間見ることもでき、友達との交流がさらに深まるきっかけとなりました。

 さて、こうして振り返ってみるとこの学年はある意味で「普通でない」学年であったことを改めて感じます。 第一にセンター試験最終学年であったこと。第二に令和最初の卒業生となること。 第三になかなかやんちゃな学年であったこと。これは、当時校長でいらっしゃった齋藤興哉理事長が中学校の卒業式で、 中一の時から「職員室中に響きわたる大きな声で怒られることが相次ぎ」とおっしゃったことからも明らかです。 しかし、裏を返せば、この学年は個性にあふれ「すぎ」ていたと言えるのではないでしょうか。 だからこそ、多くの友達と様々な話をすることに大きな意味があった訳です。 ただ、そのような時間はもうすぐ終わりを迎えます。教室で語り合った日々、通学路で笑い合いながら語り合った日々、 そのような日々ももう更新することのできない過去のものとなるのです。

 ちょうど二週間後には、大きな大きな正念場を迎えます。 私たちに残されたことは残りの時間を悔いなく過ごし、これまで必死に努力してきたことを信じることだけです。 また、これはゴールではなく一つの通過点です。これから、より困難な壁にぶち当たることもあるでしょう。 しかし、そのような時でも、白陵で培った一つ一つの経験を糧として堂々と歩んでいく決意です。

 私自身、この白陵の生活の中でつらい時もありました。逃げ出したいくらいつらかった。 そのような時に、親身になって話を聞いてくれる先生がいました。 アドバイスをくれ、背中を押してくれる先生がいました。さらに、支えてくれたのは先生だけではありませんでした。 それは、友です。どんな時でも必ず目の前に友がいました。 言葉をかけてくれる友がいました。無言で手を貸してくれる友もいました。 個性にあふれすぎた学年で、五十五期生の一員としていられたことを本当に誇りに思います。 本当にありがとう。

 また、運動会や文化祭などで大きな声を張り上げながら盛り上げてくれた在校生の皆さん、 これからの白陵生活を謳歌し、日々目標に向かって努力し続けてください。

 最後になりましたが、私たちを根気よく指導してくださった先生方、 私たちが快適な学校生活を送れるよう支えてくださった職員の皆さん、そして何よりも何度も何度も励ましてくれ、 様々な形でそばで支えてくれた家族にも心から感謝しています。 様々な人のお陰で、今私たちがここに立っていることを改めて実感しています。

 白陵高等学校の今後の益々のご発展と後輩の皆さんの活躍を祈念して、答辞とさせていただきます。

令和2年2月11日

                   第55期卒業生代表 藤井 大空

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送辞

2020.02.11

在校生代表送辞

 立春とは名ばかりの厳しい残寒が続きますが、その中でも草木はようやく長い冬の眠りから覚め、 生命の息吹がうかがえる季節となりました。 このような良き日に卒業生の皆様が晴れて高等学校の全行程を終えられてご卒業を迎えられましたことを 在校生一同心よりお祝い申し上げます。

 今、白陵に入学してからの5年間を振り返ると、そこには必ず先輩方がいらっしゃいました。入学してすぐ、 右も左もわからない僕たちに優しく声をかけてくださったこと、 特に掃除の仕方を丁寧に教えてくださったことはとても印象に残っています。 先輩方が、球技大会、運動会、文化祭、柔道大会などの学校行事や部活動などで 団長や部長などの形でリーダーシップをとり、また全員が常に前向きに取り組みながら、 活気ある活動にしてくださったおかげで、僕たちは思い出のたくさん残る、充実した日々を送ることができました。 そして、今年になり第四校舎などで遅くまで学校に残って必死に勉強されている先輩方の姿を拝見し、 一心に夢に向かって頑張る姿勢にとても憧れました。

 また、私事で恐縮ではありますが、僕は二年間の生徒会活動を通して多くの先輩方との思い出が出来ました。 運動会で関わった先輩、文化祭の有志グループの演技でかかわった先輩、生徒会長選挙の時に応援してくださった先輩、 自分が間違った時に本気で怒ってくださった先輩、そして時に優しく、時に厳しく、ほとんど毎日一緒に下校した先輩。 そんな今までいるのが当たり前だと考えていた、尊敬する先輩方との別れがもう来てしまったのだと実感すると、 やはり寂しい気持ちがこみあげてくるのを禁じえません。

 今、先輩方の頭の中には、6年間の思い出が次々と浮かびあがっていることと思います。 確かに、今日は白陵との別れの日です。しかし同時に、新たな世界への旅立ちの日でもあります。 先輩方には、白陵での様々な経験を通して得られた力強さと勢いをもって、 これからより広い世界へと羽ばたいていただきたく存じます。まだまだ頼りない後輩たちかもしれませんが、 先輩方に心配をかけないように、これからは僕たちが先輩方から受け継いだ白陵の伝統を絶つことなく、 全力を尽くして、今後の学校をよりよくしていきます。またいつの日か成長した僕たち、そして白陵の姿を見るべく、 足を運んでくださる日を、在校生一同心待ちにしています。

 最後に先輩方のご健康と、さらなるご発展を心よりお祈り申し上げまして、送辞とさせていただきます。

令和2年2月11日

                   在校生代表 髙槻 佑弥

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卒業式の一日

第55回高等学校卒業式の日です。

2020.02.11
























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