卒業式
卒業式全景
2021.03.19
学校長式辞
寒い日もありましたが、今や早咲きの桜がほころび始めています。
この良き日に、白陵中学校を卒業される184名の皆さん、誠におめでとうございます。
教職員一同とともにこれまでの皆さんの努力と研鑽を、心から讃えたいと思います。
また、これまでの長きにわたってみなさんの勉学を支えてこられたご家族の方々に対して、ここに深く敬意を表します。
いろいろな思い出の詰まった3年間だったと思います。「あなたにとって最も印象深いのは何ですか」と尋ねたとすると、
多くの人が「修学旅行だった」と答えるのではないでしょうか。3月から5月までは、ほぼ登校できませんでした。
従って、例年なら5月末の修学旅行はあり得ないものでした。6月からは、コロナ禍は収まったかと思いきや、7月から今度は第2波に見舞われました。
その上、猛烈な暑さの加わった夏。9月になるとその第2波は収まっていきましたが、暑さが収まらず、結局白陵祭は中止になりました。
このまま中学が終わってしまうのか。10月に延期した修学旅行は行けるのか。行ける、行けない、行ける、行けない。
そうして10月11日のことでした。午前10時、皆さんを乗せたANA735便はついに伊丹空港を飛び立ちました。
「千年希望の丘」を皮切りにホームページに送られてくるスナップ写真には、平然としながらも楽しむ皆さんの姿がありました。
在校生はその様子に目を見張ったことでしょう。特に、高校2年生は祈るような気持だったと思います。
そして全員無事に、充実した顔つきで帰ってきました。勇気を得た高2生が修学旅行に旅立ったのは、
そのおよそ一か月後、第3波が始まりつつあった11月の下旬です。11月といえばシンガーソングライターの玉城ちはるさんによる講演『命の参観日』が思いだされます。
「ありがとう、ごめんなさい、だいすき」という心の壁を取り払う妙薬を教えていただきました。
皆さんを評して学年の先生は、「学校には休まず来る、授業中も元気に発言する」と。一方で「幼い!」との声も。
どうやら「(背中を)押さない」という意味でもないようです。しかし、未熟なところはあるかもしれませんが、この未曾有のコロナ禍を切り抜けてきた力強さは、
この3年間を通じて培われてきたものだと思います。今となってはずいぶん前のことに感じられもしますが、
入学してからすぐの裏山登り。山上から見た校舎の風景には心動かされたのではなかったでしょうか。
その後には臨海学習。結団式での生徒代表の「三つ目の目で見てきます」という立派な言葉が印象的でした。
6月から9月にかけては雨の日が多く、警報発令などによる臨時休校は7回を数えました。
土曜日に予定していた運動会は4日遅れの水曜日になんとか挙行。皆さんの学年演技のなんとも初々しかったことか。
その4日後の日曜日には晴天の下での文化祭。さわやかな歌声は、それまでの異常気象によるモヤモヤを取り除いてくれるかのようでした。
秋の「関西フィルハーモニー管弦楽団」による演奏会は感動的でした。続く京大の土畑先生による昆虫の話は「進化は偶然でも、昆虫はそれを必然として力強く生きている」という、
先生の想いのこもったものでした。そして冬にはインフルエンザが流行。百人一首大会、Z会アドバンスト模試、柔道大会と進み、
そのあとなぜか廊下で足をかけるのが流行りました。中2になると、イノシシたちはあちこちをよく掘り返して何かと闘っていましたが、
私たちは「暑さ指数」との戦いとなりました。キャンプ、運動会、文化祭などのシーンは太陽光線の白と、それによる黒い影が彩のベースとなっていました。
それでも秋になると多少は過ごしやすくなり、大前光市氏の『できないと思う心が障害』、江口貴博氏の『救える命があればどこへでも』という2つの講演会では
お二人の情熱的な生き方に引き付けられました。そして、キャップハンディ体験、柔道大会と続き、来る「コロナ禍の日々」へと接続していったのでした。
ここまでの話を振り返った時、皆さんへの先生達からの評価における「幼さ」への言及が少し気になります。
体は育ったが、精神が幼くてなかなか大人になれない、などの言い回しで語られるときの「幼さ」にはプラスに対するマイナス、
陽に対する陰のニュアンスがあります。では、このマイナス要素は単純に切り捨てられるべきものでしょうか。
人は、幼さ故に、感謝できなかったり、他人に迷惑をかけたり、他人を傷つけたり、無鉄砲になったり、イライラしたり。
これは誰しも経験することです。しかし、これらのことは、一途であったり、多方面に好奇心があったり、
考えが柔軟であったりといった性質とほんの隣り合わせでもあるのです。そしていわゆる人生の達人と呼ばれる人たちは、
そのように、まるで幼子のように闊達であることが多いことを皆さんも知っているのではないでしょうか。
飛ぶものとしての鳥、泳ぐものとしての魚にはそのためのマイナス要素は不要であっても、物をつくるもの、創造するものとしての人間は、
そもそも体と心が分離し矛盾するように作られているのです。つまり「幼きものとしての人間」というわけです。
そして皆さんが経験したこの3年間は成長段階においてそのような分離と矛盾が最も激しい時期だったのです。
さて皆さんは義務教育を終え、高校へと進んでいくことになります。しかし、「幼きものとしての人間」から脱却するわけではありません。
これまでとは違ったレベルの楽しみや苦悩に出会うことでしょう。その時々の矛盾に打ち勝つためには「研究と訓練」に励み、それを通して
「独立不羈」の精神へと至れというのが我々からのメッセージでしたが、その道は今後、むしろ険しさを増していくことでしょう。
そのように人間はできているからです。そして、だからこそ、皆さんをより深い成長、すなわち「正明闊達」の道へと導いてくれるのだと思います。
そのような人間存在として、ともに学びあっているということにおいて、お互いを尊重し、慈しみ合ってください。そして、恐れることはありません。
勇気をもって次のステップに、それぞれのスタイルで進んでいってください。
白陵中学校の卒業生数は、中学第56期生である皆さんを含めると、6863名になりました。
卒業おめでとう。
令和3年3月19日
学校法人三木学園 白陵中学校 校長 宮﨑 陽太郎
卒業式
第56回中学校卒業式です。
2021.03.19
卒業証書授与。
全員,呼名。
代表に授与。
優等賞,努力賞。
皆勤賞。
功労賞。
感謝状。
学校長式辞。
閉式。